EXHIBITIONS

企画展 楽しい隠遁生活 ―文人たちのマインドフルネス

展示風景より、左から富岡鉄斎《掃蕩俗塵図》(大正時代、1917)、森琴石《山水図》(明治時代、1897)
帆足杏雨《山水図》(江戸時代、19世紀)

 泉屋博古館東京(旧・泉屋博古館分館)で「企画展 楽しい隠遁生活 ―文人たちのマインドフルネス」が開催されている。

 現代に限らず、むかしの人たちも政治や社会のしがらみから逃れ、清廉な生活にあこがれ、自ら娯しみ遊戯の精神を忘れず、自由を希求する「自娯遊戯」の世界を描いた絵画や工芸品を求めてきた。そのため、東洋の山水画には、生き方の理想や文学的なテーマが隠されていることが少なくない。そこには、田舎暮らしのスローライフを求める「楽しい」隠遁から、厳しい現実を積極的に切り抜ける「過激な」隠遁まで、多種多様な隠遁スタイルを見出すことができる。

 本展では、理想の隠遁空間をイメージした山水・風景や、彼らが慕った中国の隠者達の姿を描いた絵画作品とともに、清閑な暮らしのなかで愛玩されたであろう細緻な文房具などもあわせて展示する。中国の士大夫や日本の文人たちが抱いたマインドフルネス(安寧な心理状態)に焦点を当てた展覧会となっている。