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EXHIBITIONS

風景論以後

笹岡啓子 PARK CITYより 2022 東京都写真美術館蔵

 東京都写真美術館で「風景論以後」が開催される。

 初期ルネサンスの風景絵画に代表されるように、風景は芸術や美と結び付けて語られ、西洋の近代芸術の主題のひとつであった。明治維新後の日本においては、風景という概念が近代化の過程で大きな役割を果たすようになる。いっぽうで、写真映像という視覚芸術において、カメラのレンズを通して撮影者の視点をうつしだすという意味で、風景はそのメディアの起源から現在までつねに重要な主題であった。

 そして1970年前後の日本に現れた「風景とは何か」という風景論は、社会的構造や美的基盤のあり方を語り、不安な時代や社会状況を契機として登場した。視覚芸術を通じて、文化、社会、政治との関係から風景を表現していくその実験は、同時代の写真家、映像作家に大きな影響を与えた。

 本展では、1970年前後の風景論と、その理論と連動した写真映像表現を再考し、現在にいたるまでの作品群を結ぶことで、風景論以後の写真映像表現の可能性を概観する。91点(うち映像作品10点、写真作品43点、資料38点)の展示を通して、写真映像表現を改めて見つめる展覧会となる。