EXHIBITIONS

谷内こうた展 風のゆくえ

2023.06.24 - 10.01

谷内こうた 『なつのあさ』(至光社)より 1970 ちひろ美術館委託

 ちひろ美術館・東京で「谷内こうた展 風のゆくえ」が開催されている。

 谷内こうた(1947〜2019)は神奈川県生まれ。多摩美術大学油絵科進学後、家業のろうけつ染めを手伝う。20歳のときに、叔父の谷内六郎のすすめで初めての絵本『ぼくのでんしゃ』『おじいさんのばいおりん』の絵を描き、至光社の武市八十雄に認められ同社より出版する。1971年に『なつのあさ』で、日本人として初めてボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞し、その同年に渡欧し、油彩画の制作を中心に活動する。『のらいぬ』『つきとあそぼう』にて79年、81年BIB金のりんご賞を受賞した。

 谷内は、移り行く光や空気を色の変化であらわし、現実と架空の世界を自由に行き来する絵本を手がけた。ドイツやフランスの四季折々の自然や街並みの風景を愛した谷内は、35歳のときに家族とともにノルマンディーに移住し、アトリエを構えて数多くの油彩画を制作した。本展は、2019年に71歳で亡くなった谷内の、絵本原画や初公開作品も含めた雑誌の表紙絵、タブローなどを写真や資料とともに展示し、その画業の全体像を紹介する。