藤田和孝 「The Sound of Silence 怒り、そして祈り」

　Gallery OUT OF PLACEで、藤田和孝による個展 「The Sound of Silence 怒り、そして祈り」が開催される。

　藤田和孝は1940年奈良県生まれ。2000年に県立高校の英語教師を退職後、画業に専念し始める。

　これまで藤田は世界各地を訪れ、そこで見た風景、出会った人々を描き、大量のドローイングをスケッチブックに残していた。そんななか、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースに大きなショックを受けた藤田は、その翌日に何かに憑かれたかのように一心不乱の境地で、これまでの画風とは異なった黒い絵を描き始めたという。

　本展ではおもに、ロシアのウクライナへの侵攻が続くこの1年間に描かれた作品群を紹介する。

　藤田はウクライナ侵攻のニュースを初めて見た日のことをこのように述べる。「アトリエにある作品に耐えられなくなった。世界のリアルとあまりにもかけ離れた凡庸さに。怒りが爆発した。音が消えた。色彩が消えた。日常が消えた。そして何よりも、人々が消えた」。彼の戦争への怒りと平和への切実な祈りが込められた作品の数々が、会場に並ぶ。