没後50年 鏑木清方展

　上村松園と並び称され、美人画家として定評のある鏑木清方（1878〜1972）。その回顧展「没後50年 鏑木清方展」が京都国立近代美術館に巡回する。

　江戸の面影を色濃く残した東京に生まれた清方は、生涯にわたり、江戸や東京にまつわる作品を多く残した。その代表的な作品は長らく行方不明となっており、2018（平成30）年にようやく姿を現わしたのが《築地明石町》だ。本作品は、清方の代表作というだけでなく、近代日本画壇の美人画のなかでも最高峰に位置付けられている。

　本展は、清方の没後50年を記念して約109件の日本画作品で構成。同館では初めて、京都でも大規模な回顧展は45年ぶりとなる。

《築地明石町》と同時に現われた《浜町河岸》《新富町》とあわせて東京国立近代美術館の所蔵となったことから、同一法人内の美術館である京都国立近代美術館の巡回展でも、三部作の全会期展示が実現。また、清方の父・條野採菊は、戯作者であり、毎日新聞の前身にあたる東京日日新聞の創刊に関わったことでも知られるが、本展では、その影響により清方が幼い頃から親しんだ文学、芝居、歌舞伎、落語に取材した作品《一葉》《野崎村》も紹介し、美人画だけではない清方の全貌に迫る（会期中、一部展示替えあり）。