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グレゴール・シュナイダー

Gregor Schneider

 グレゴール・シュナイダーは1969年ドイツ・ライト生まれ。16歳のとき、両親が所有する建物の部屋に別の部屋をつくるなどの改築をした「ur」シリーズの制作を開始。以降、「時間と空間は過去から未来にかけて蓄積されていく」という考えをもとに、自身や家族の過去の記憶が残る場所を外部から遮断するため、断熱材と鉛を用いた壁で室内を覆った空間をつくり続けている。90年代からは、これらの空間を映像や写真で記録して美術館やギャラリーで再現するインスタレーションを発表。2001年に第49回ヴェネチア・ビエンナーレのドイツ館代表に選出され、館内に自宅の内部を移築した作品《死の家》(2001)で金獅子賞を受賞した。

 その後、ロサンゼルス現代美術館、K21美術館(ドイツ)、フランクフルト現代美術館、ハンブルク現代美術館などで個展を開催。14年には、ナチス・ドイツの国民啓蒙・宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの旧邸宅で、家財や目録を丁寧に調べ上げ、建物の内部を徹底的に破壊するプロジェクトを展開。戦後からほぼ公にされることのなかったゲッベルスの家屋の歴史をひも解いた。日本では、ヨコハマトリエンナーレ2014で作品を初めて発表。近年は瀬戸内国際芸術祭2019や、19年初開催の「アート・プロジェクト:TRANS-」に参加。同年、ワコウ・ワークス・オブ・アート(東京)で個展「SUPPE AUSLÖFFELN けりを付ける(スープを飲み干す)」を開催。