EXHIBITIONS

ゲルハルト・リヒター

2022.10.15 - 2023.01.29

ゲルハルト・リヒター ビルケナウ 2014[CR 937/ 1-4]
ゲルハルト・リヒター財団 ドレスデン・アルベルティヌム美術館での展示風景(2015)
Photo: David Brandt, courtesy Gerhard Richter Archive, Dresden ©️Gerhard Richter 2022(07062022)

ゲルハルト・リヒター ムード(2022年1月7日(1)) 2022
作家蔵  ©️Gerhard Richter 2022(07062022)

ゲルハルト・リヒター モーターボート(第1ヴァージョン) 1965[CR 79a]
ゲルハルト・リヒター財団蔵 ©️ Gerhard Richter 2022(07062022)

ゲルハルト・リヒター アブストラクト・ペインティング  2017[CR 952-4]
作家蔵 ©️ Gerhard Richter 2022(07062022)

ゲルハルト・リヒター 1998年2月14日 1998
ゲルハルト・リヒター財団蔵 ©️ Gerhard Richter 2022(07062022)

ゲルハルト・リヒター 8枚のガラス 2012[CR 928]
ワコウ・ワークス・オブ・アート蔵 ©️ Gerhard Richter 2022(07062022)

「ゲルハルト・リヒター」展が豊田市美術館に巡回する。今日もっとも注目される画家ゲルハルト・リヒターの日本では16年ぶりとなる待望の回顧展。

  1932年、ドイツ東部のドレスデンに生まれたリヒターは、ベルリンの壁がつくられる直前の61年に西ドイツへ移住したのち、デュッセルドルフ芸術アカミーへ入学。コンラート・フィッシャーやブリンキー・パレルモらと交流し、「資本主義リアリズム」と呼ばれる運動のなかで独自の表現を発表すると一躍注目を浴びた。その後、イメージの成立条件を問い直す多岐にわたる作品制作を通じて、ドイツ国内のみならず、世界で評価されるようになった。

 リヒターが90歳を迎える年に開催される本展は、60年代の「フォト・ペインティング」から初公開となるドローイングなどあわせて約140点で構成。身近な写真を拡大して描く「フォトペインティング」、ガラスや鏡を用いた作品、巨大なカラーチャート、そして抽象絵画など、リヒターが大切に手元に残してきた作品を中心に、60年にわたる画業を回顧する。

 なかでも、ドイツの第二次世界大戦時の暗部であるアウシュヴィッツの強制収容所にて、ひそかに撮影された写真を出発点にした《ビルケナウ》は、2014年にようやく取り組むことができたと画家自らが語る集大成的な作品であり、日本では初めての公開となる。

 さらに、東京会場(東京国立近代美術館、2022年6月7日~10月2日)とはまったく異なる作品の配置に、豊田会場でのみ展示される作品も見どころのひとつ。17年に絵画制作からの「引退」を公表していたリヒターだが、22年5月のバイエラー美術館(スイス)での個展において鮮やかな色彩の水彩作品を発表しており、本展ではこの水彩作品の写真エディションを特別出品する。