オットー・ネーベル(1892〜1973)はベルリンに生まれ、スイス・ドイツで活動した画家。1920年代半ばにワイマールに滞在し、バウハウスでカンディンスキーやクレーと出会い、長年にわたる友情を育んだ。美術のみならず、建築や演劇も学んだネーベルは、画家としてだけでなく、版画家や詩人としても活動した。
日本初の回顧展となる本展では、ネーベルの活動初期から晩年までの作品を展観。イタリア滞在中に各都市の景観を色彩で表現したスケッチブック「イタリアのカラー・アトラス(色彩地図帳)」や、都市の建築物の輪郭を単純化したかたちと色彩で捉えた「都市の建築シリーズ」、後半生に描いた実験的な抽象画など、バリエーション豊かな作品が一堂に会する。
また本展では、クレーやカンディンスキー、シャガールなど、ネーベルに影響を与えた同時代の画家たちの作品もあわせて紹介し、20世紀美術の流れのなかで、ネーベルの創作活動の軌跡をたどる。
会期中には、ピアニストの林正樹によるサロン・コンサートも開催。自らの創作をオーケストラの指揮者になぞらえていたネーベルの絵の世界を、音で表現する。
なお、本展は2018年4月28日より6月24日まで、京都文化博物館に巡回予定。