メトロポリタン美術館において存命のファッションデザイナー個人に焦点を当てたものとしては、1983年のイヴ・サン=ローラン以来、じつに34年ぶりの展覧会となる「Rei Kawakubo/Comme des Garçons:Art of the In-Between」。81年に初めてパリ・コレクションで行われた「コム デ ギャルソン」のショーから現在まで、約120着におよぶ同ブランドのウィメンズウェアを紹介する。
同館館長のトーマス・P・キャンベルは川久保玲について、「アートとファッションの境界線が曖昧になるなか、川久保は衣服に対して異なる考え方を私たちに提示しています」とコメント。また本展担当キュレーターのアンドリュー・ボルトン(服飾部門主席キュレーター)は「川久保玲は過去40年間でもっとも重要なファッションデザイナーの一人。絶え間ない創造と再創造、そしてハイブリディティ(異種混交性)によって、各時代の美意識を定義づけてきた」と語る。
69年に「Comme des Garçons」を立ち上げ、82年のパリ・コレクションで「黒の衝撃」と呼ばれる黒服を発表。その後、他に類を見ないスタイルを数多く打ち出し、世界のファッションシーンに大きな影響を与えてきた川久保。「私はすでに確立した価値や習慣、模範だと思われていることを否定することで、新しいデザインを追求してきました。そして私にとってもっとも重要な表現方法は、『融合』『アンバランス』『未完』『脱離』、そして『意図の欠如』なのです」と、本展開催にあわせてコメントを寄せている。
展覧会は、「西洋と東洋」「男性と女性」「過去と現在」といった、ふたつの相対するものを、「コム デ ギャルソン」によって打ち壊そうというもの。会場ではマネキンは鑑賞者と同じ目線で設置され、柵なども設けず、鑑賞者と衣服の距離が限りなく近いような構成になるという。
なお、本展のオープニングを飾るものとして、メトロポリタン美術館の恒例行事「メットガラ」が5月1日に開催。ケイティ・ペリーやファレル・ウィリアムズらの参加が決定している。