1978年神奈川県生まれの桑久保徹は、自分の中に架空の画家を見いだすという演劇的アプローチで制作活動をスタート。あえて古典的ともいえる油絵具の厚塗り技法を用い、現代的心象風景を物語性豊かに描いてきた。
今回、桑久保が取り組んだ「カレンダーシリーズ」は、尊敬する画家の生涯をひとつのキャンバスに込めて描き、それぞれの作品から連想される月を当てはめたもの。本展では、ピカソ、フェルメール、アンソール、セザンヌ、スーラ、ゴッホの6人、6ヶ月分を展示する。
フェルメールを題材にした作品では現在フェルメール作と確認されている37点すべてを画面の中に描き、ピカソを題材にした作品ではゲルニカのモノクロームの画面をベースにするなど、それぞれの作家の目線や筆致を制作のなかで追体験する「究極のオマージュ作品」となっている。
また本展では、同シリーズのドローイング6点も展示。ドローイング作品の上部にはレコードがともに額装されており、そのレコードには、音楽家・日高理樹がそれぞれの画家を題材に制作した音楽を収録。オープニングレセプションでは、日高によるライブも行われる。