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吉村麗が語る「CLAMP展」(国立新美術館)。マンガを美術館で展示し作家の魅力を引き出すための思考【2/2ページ】

 前述した通り、当館はこれまでマンガ、アニメ、ゲーム、特撮等を取り上げる展覧会をたびたび開催してきたものの、マンガ家の個展は2019年の「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」に続きまだ2回目である。荒木飛呂彦は、長年国民的な雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)を中心に活動してきた、インパクトのある画風と異国情緒溢れる独特の世界を描く異色の少年マンガ家。国立新美術館の展示は、ライフワークである「JOJO」シリーズの原画展示を軸に、画家としての荒木の新しい挑戦や、現代アーティストとのコラボレーションも随所に組み込んだ構成であった。

 いっぽうで、CLAMPは少女マンガからそのキャリアをスタートさせ、その後少年マンガ、青年マンガへ掲載誌や出版社の垣根を越え、活動の場を拡げてきた。物語のヴァリエーションが豊かで、作品のコンセプトや掲載媒体によって作画を変えるなど、高い技術力に裏打ちされた変幻自在な「マンガ力」を持ち、時代に合わせて新しい挑戦をすることによって、つねに創作の最前線を走って来た作家である。女性4人組のマンガ家というのもまた珍しく、個々の作品の内側の魅力だけでなく、総合プロデュースされた「CLAMP」という作家活動の軌跡を大きな視点で紹介できればと考えた。

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