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吉村麗が語る「CLAMP展」(国立新美術館)。マンガを美術館で展示し作家の魅力を引き出すための思考

美術館の学芸員(キュレーター)が、自身の手がけた展覧会について語る「Curator's Voice」。第26回は、東京・六本木の国立新美術館で開催中の「CLAMP展」(〜9月23日)を取り上げる。マンガを展示するために、キュレーターは何を目指し、どのような試行錯誤を重ねるのか。担当した同館特定研究員の吉村麗が語る。

文=吉村麗

「CLAMP展」(国立新美術館、2024)展示風景より、天井に造作を吊るした「COLOR」のエリア。布の飾りにはCLAMPの原画から抽出した色彩を使用。 ©CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD.  ©C,ST/CEP

 国立新美術館は、独立行政法人国立美術館に属する国立美術館の5番目の施設として、2007年に東京・六本木に開館。コレクションを持たない代わりに、人々が様々な芸術表現を体験し、学び、多様な価値観を認め合うことができる「アートセンター」として、つねに先端的な分野の展覧会を行うことに力を入れてきた。ファッション、デザイン、建築のほか、マンガやアニメなどの分野に関しても、2015年の「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展の開催以来、積極的に取り上げてきた。同展をアジア圏に巡回させ、2018年に「MANGA⇔TOKYO」(パリ、ラ・ヴィレット)で自主企画展を開催するなど、海外への発信も自発的に行っている。筆者は、2017年から当館の海外プロジェクトに関わり、現在は主にマンガを専門とした研究員(キュレーター)として勤務している。

 今回の「CLAMP展」は、CLAMPの大規模な個展を美術館で開催したいという構想を温めていた出版社サイドからのオファーにより実現した。CLAMPはマンガ史的に重要な作家であることは間違いなく、いまもなお最前線を走り続ける作家であり、また海外での評価も高い。じつは以前から個人的にいつか展覧会を開催できたらと思っていた作家だった。オファーの時点では展示内容は決まっていなかったため、国立新美術館も企画に関わり、出版社を中心とする製作委員会のメンバーと一緒に展覧会をつくっていくことになった。

「CLAMP展」(国立新美術館、2024)のキービジュアル。23作品のキャラクターが登場するコラージュ

編集部

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