2021.4.29

未来を変える技術の基礎知識。ブロックチェーンQ&A

雑誌『美術手帖』の貴重なバックナンバー記事を公開。本記事では、2018年の「アート×ブロックチェーン」特集より、ブロックチェーンにまつわるQ&Aを掲載する。

監修=斉藤賢爾 構成=宮本裕人+編集部

(C)UNSPLASH

 仮想通貨の中核技術として注目されるブロックチェーン。金融のほかにも様々なものに応用できると言われているが、どんな未来が可能になるのか。

 本記事では、2018年のブロックチェーンにまつわる特集から、Q&Aを公開。身近な事例を手がかりに、ブロックチェーンが未来の私たちの生活や社会をどのように変えうるのか、わかりやすく解説する。

ブロックチェーンQ&A
ブロックチェーンで社会は変わる?

 社会の仕組みそのものを変えてしまうかもしれないブロックチェーン。世の中に劇的な変化をもたらすと言われているこのテクノロジーは、私たちの暮らしをどう変えるのか。「インターネットと社会」の研究者、斉藤賢爾先生に学ぶ。

Q. ブロックチェーンの革新的なところはなんですか?

A. 遺言書を例にしましょう。遺言書は、いまは自筆の署名が必須ですが、デジタル署名でできれば便利だと多くの人が考えています。デジタル署名は内容証明のようなもので、内容が改ざんされていないと証明できるからです。ところが、遺言書が実際に使われるのは当人が亡くなったあとなので、デジタル署名に使った「秘密鍵」が秘密に保たれている確証がありません。もしかしたら相続人の誰かが秘密鍵を見つけて、有利に書き換えてから署名し直しているかもしれません。ですがもし、本人が生前にデジタル署名した遺言書をブロックチェーンに書き込んだとすれば、遺言書は正しいと見なせます。このように、過去に位置付けられたデジタル署名をなんの権威にもよらず正しいと証明できるようにした点がもっとも画期的なところです。