2007年公開の『秒速5センチメートル』をはじめ、『言の葉の庭』『君の名は。』など様々なヒット作を手がけてきたアニメーション映画監督・新海誠。02年の商業デビューからこれまでの15年の軌跡を、1000点の資料でたどる展覧会が11月11日から国立新美術館で開催される。
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本展は、「大岡信ことば館」(静岡)、小海町高原美術館(長野)からの巡回展で、国立美術館では初の現役アニメーション映画監督の展覧会となる。
開幕前日の11月10日には、新海本人と、『君の名は。』で主演声優として参加し、本展音声ガイドも務める俳優・神木隆之介が記者会見に登壇した。
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『君の名は。』で、作中に会場の国立新美術館を登場させた新海。本展については「まさか(映画で描いた)その場所で展示する機会があるとは想像もしていなかったので、光栄です。(美術館で展覧会というのは)アニメーション映画の受け取られ方も変わってきたのかなと感じる」とコメント。
「映画づくりの過程は、スタッフとのコミュニケーションの過程。僕たちがどうやってコミュニケーションをしようとしているかを見てもらいたいです。来場者の方々に感じてもらったことは、新しい作品にもつながると思う。僕たちと会話をするようなつもりで来てもらえると、幸せです」と話す。
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一方、新海作品のファンでもあるという神木は「写真のような美しさは、本当に手で描かれているんだなと実感できる。ずっといたい空間でした」と興奮した様子で本展について話した。
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2000平米の会場では、デビュー作『ほしのこえ』から『君の名は。』までを、作品ごとに時系列で展示。制作当時に実際に使われていたパソコンなどの道具から、絵コンテ、設定資料、背景画、そして本編から抜粋した映像など、様々な視点から作品を読み解くことができる。
約1ヶ月という短い会期ではあるが、いまもっとも注目すべきアニメーション映画監督の軌跡をたどることができるこの機会。アニメーションの裏側にある、丁寧な仕事の積み重ねに注目してほしい。
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