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「建築には生命力がある」
建築家・安藤忠雄が東京で過去最大規模の個展を開催

世界でもっとも著名な建築家のひとり、安藤忠雄が今年、東京・六本木の国立新美術館で自身初の美術館個展「安藤忠雄展 挑戦」を開催する。これに先駆け、安藤自身による記者会見と特別レクチャーが同館にて行われた。

安藤忠雄

 元プロボクサーという異色の経歴で知られる建築家・安藤忠雄は1941年大阪府生まれ。独学で建築を学び、69年より「都市ゲリラ」として建築設計活動をスタートさせた。以来、それまでの概念を打ち破るような建築作品を次々に発表、79年には「住吉の長屋」で日本建築学会賞を受賞した。

 90年代以降は、そのフィールドを海外にも広げるいっぽう、環境再生や震災復興などにも取り組んできた。95年には“建築界のノーベル賞”とも言われるプリツカー賞を受賞。直島ベネッセハウス(1992、直島)をはじめ、ユネスコ瞑想空間(1995、パリ)やピューリッツァー美術館(2001、セントルイス)、表参道ヒルズ(2006、東京)など世界各地でプロジェクトを手がけ、今なお精力的な活動を続けている。

記者会見に登壇した安藤忠雄

 過去最大規模の安藤忠雄展となる本展では、「原点/住まい」「光」「余白の空間」「場所を読む」「あるものを生かしてないものをつくる」「育てる」の6セクションで、安藤の軌跡を一望。約100点の住宅作品が一挙公開されるほか、代表作である「直島プロジェクト」の全貌がわかるインスタレーションや、初期の未完に終わったプロジェクトから、歴史都市ヴェネチアでの「プンタ・デラ・ドガーナ」を中心とする一連の作品、さらに現在パリ中心部で進行中の美術館プロジェクトまでが紹介される。

パリで進行中のプロジェクトについて説明する安藤

 また、本展の大きな見どころとなるのが「光の教会」の原寸大コンクリート建築の展示だ。89年、大阪府茨木市に建設されたこの教会は、極限までデザインを削り落とし、暗い堂内に光の十字架が落ちるもので、安藤を象徴する作品の一つとなっている。今回、この原寸大展示を決めた理由について安藤は「『光の教会』は宗教施設で入りにくい。でも建築は体験が重要なので、(展覧会で)見てもらいたいと思った」とコメント。本来、その場に出向かなければ出会えない建築に触れる貴重な機会となるだろう。

 なお、本展は展示空間のデザインも安藤自身が手掛けており、会場すべてが安藤ワールドとなる。

編集部

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