まず本展では、大英博物館の日本コレクションの形成に貢献した5名を取り上げる。御雇外国人として日本に滞在し絵画を蒐集した外科医のウィリアム・アンダーソン(1842〜1900)、同じく御雇外国人として造幣局に勤め、古墳研究のため銅鐸・埴輪・石器などを集めたウィリアム・ガウランド(1842〜1922)、浮世絵の熱心な蒐集家でもあった小説家のアーサー・モリソン(1863〜1945)。加えて、大英博物館の学芸員オーガスタス・ウォラストン・フランクス(1826〜97)、ローレンス・ビニョン(1869〜1943)を紹介し、同コレクションがいかに築かれてきたかを紐解きながら、日本美術の多彩な様相を再発見することを試みる。
イギリスから初めて里帰りを果たす作品も多数展示される。円山応挙《虎の子渡し図屏風》(1781~82)をはじめ、英国ジョージ王子(のちの国王ジョージ5世)と久保田米僊の合作《蛍図》(1881)、桜井香雲《法隆寺金堂壁画 九号壁 模本》(1880)など、近年の調査で注目された貴重な作品も並ぶ。



さらに、大英博物館所蔵の《秋冬花鳥図襖》と、青森・中泊町の宮越家所蔵《春景花鳥図襖》が一連の作品であったという発見を受け、本展ではこれら2点に加え、《秋冬花鳥図襖》の反対面にあたるシアトル美術館所蔵《琴棋書画仙人図襖》をあわせて展示。また、《春景花鳥図襖》の反対面にあたる《名所・風俗図(清見寺・三保松原)襖》を加えた3組(4図)に襖を並べて公開する。海を越えて分散していた作品が約150年ぶりに一堂に会する、またとない機会となるだろう。



このほか、鈴木春信に始まり鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、初代歌川豊国、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳といった江戸の8大浮世絵師を中心に100点以上の作品を展示し、同館の浮世絵コレクションの全貌を紹介。肉筆画では、菱川師宣、喜多川歌麿、鳥文斎栄之、河鍋暁斎、北斎らの貴重な作品も取り上げる。2000年代以降の新収蔵品も展示され、コレクションの形成から現在に至る研究の歩みをたどることができるだろう。




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