まず注目したいのは、第1章「宋元文化と日本」で示される、日本人が宋元文化をどのように憧れ、価値づけてきたかという点である。足利将軍家の「東山御物」に代表されるように、宋元の品々は中世日本において格別の評価を受けた。その象徴的存在が国宝「秋景冬景山水図 伝徽宗筆」である。北宋皇帝徽宗に帰属する本作は、秋と冬の山水を一対で描き、繊細な筆線と余白の妙を駆使して自然の移ろいをとらえている。たんなる風景表現を超え、自然を仏性の顕れとする思想を映す点において、日本人が「唐物」として憧れた宋元文化の精神を鮮やかに物語っている。

前期展示:9月20日~10月19日
続いて第2章「大陸への求法」では、宋元仏画が日本に多く残された理由が解き明かされる。日本の僧侶たちは幾度も海を越えて大陸を訪れ、師資相承を通じて仏教を学んだ。その際、祖師の肖像画(頂相)を持ち帰り、教えとともに祀った。頂相は似姿を超え、師の精神そのものを体現する存在であり、日本に伝わった仏画が信仰と学問の架け橋として尊ばれたことを示している。

前期展示:9月20日~10月19日



















