近江八幡旧市街
琵琶湖のほとり、米原と京都のあいだに位置する近江八幡市は、中世以来多くの街道が通る場所として商業が栄えた。全国的に活躍する「近江商人」の拠点になったことでも知られ、現在もここにルーツを持つ企業は多い。旧市街は商人の街としてにぎわった、江戸末期から明治大正の街並みが保存されており、BIWAKOビエンナーレのハイライトとなっている。

山本家
江戸時代から宿屋として営業しており、近江八幡を通る商人や旅人に宿泊施設を提供してきた山本家。ここでは、江頭誠、サークルサイド、田中真聡、村山大明、本原令子、森島善則、クラウディア・ラルヒャーが展示を行っている。

江頭誠は、かつて多くの家で使われていた花柄の毛布の花を切り取り、中に綿を入れて立体化。部屋全体を覆うインスタレーションを出現させた。

村山大明はオオサンショウウオが何匹も重なりあい、惑星を思わせる球体になっている様から発想したインスタレーションを、田中真聡は厨房を命につながる創作としての料理の空間ととらえ、水や火、気流を体現するような可動作品を制作。ロバート・ハイスは日常のなかに使われていた座卓が天上に向かう苔に覆われて自然とのつながりを表した作品をそれぞれ展開した。



陶芸家の本原令子は水の循環に着目した陶芸作品を展開。雨を想起させる長靴型の小さな器には周囲で採集した草花を、人が入れる大きな器は、そこに実際に人が入る映像作品とともに展示。焼くことで水を湛えられる陶器の不思議さとともに表現している。

近江八幡市に移住した森島善則は、西の湖のヨシ原をめぐる日々をインスタレーションとして展開、サークルサイドは心の中に感情の流れを暗闇のなかの水流のように表現した。


クラウディア・ラルヒャーは、女性の存在感を強めた日本美術史を再構想する架空の画像アーカイブを作成。歴史的な視覚資料にもとづいてAIで新たなデジタル画像を生成したうえで、それらを80枚のアナログスライドに転写。コダック・カルーセルで映写した。




















