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「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」(東京都写真美術館)開幕レポート。暗闇のなかで拾い集める苦難と郷愁の断片【2/4ページ】

 会場は闇に包まれており、目が慣れてもなお足元に注意を払わなければいけないほどだ。そこに浮かび上がるのがコスタの思想が表出した、様々な映像の断片となる。

 展覧会冒頭に並んでいる写真は、同館コレクションのジェイコブ・リースによる写真群となる。コスタは映画『ホース・マネー』(2014)の冒頭で、19世紀末から20世紀初頭にかけてのニューヨークの貧困地域をとらえたリースの写真を写したが、本展でもまたコスタが選んだリースの作品が並ぶ。

展示風景より、ジェイコブ・リースによる写真

 《少年という男、少女という女》(2005)は、映画『ヴァンダの部屋』と『コロッサル・ユース』を2チャンネルで再構成した作品だ。コスタの作品の舞台になってきたポルトガル・リスボンにあったアフリカ系住民が集まっていたスラム街、フォンタイーニャス地区の取り壊し音とともに、そこにあった生活が刻まれている。

展示風景より、ペドロ・コスタ《少年という男、少女という女》(2005)

編集部