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「ルイジ・ギッリ 終わらない風景」(東京都写真美術館)開幕レポート。何が風景なのか、何が風景ではないのか【3/5ページ】

 第Ⅱ章「オブジェクトとイメージ 2ーイメージと記憶の交差」では、「F11、1/125、自然光」や「静物」といったシリーズを取り上げ、その風景への眼差しの深化に迫る。

 「F11、1/125、自然光」には、風景を撮影する人々や美術作品を鑑賞する人々を、その背後から撮影した作品が数多く含まれる。これらは、対象を撮影する存在をまた撮影し、そして生み出された作品を我々が美術館でまた鑑賞するといった、写すものと写されるものの関係を入れ籠のように提示しているといえるが、手前から奥まで広くピントをあわせることが意識されており、何が前景で何が後景なのかが混濁しているのもおもしろいポイントだ。シリーズタイトルにあるように、F値を絞り被写界深度を深くしてパンフォーカスにすることで、前章の「フォトディスモンタージュ」で試みられていた等価性が、奥行きにおいても志向されていたといえる。

展示風景より、左から《ブラーイエス、1979》「F11、1/125、自然光」より

  いっぽうの「静物」は、影の存在を強く意識する写真が多い。絵画の上に落ちた人物の影や路上に落ちる街路樹の影など、これらの影は、被写体ではないが、その空間に確実にあったであろう存在を巧みに示唆する。写真における風景はそのフレームの内側だけでなく、外側にあるものによってもつくられることが、改めて示唆される。

展示風景より、右が《モデナ、1978》「静物」より

編集部

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