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「ルイジ・ギッリ 終わらない風景」(東京都写真美術館)開幕レポート。何が風景なのか、何が風景ではないのか【2/5ページ】

 会場は全5章で構成。第Ⅰ章「オブジェクトとイメージ 1一反響し合うイメージ」は、ギッリの初期の活動となる、70年代の作品群を紹介する。当時のギッリは街を歩きながら、イメージの断片を収集して写真に収めていった。会場で作品群を見ていると気がつくが、これらはたんなる街のスナップというわけではない。一見するだけではそこに何かが写っているのか判別できず、複数の要素がコラージュのように組み合わさっているような印象を与える。しばらく作品と対峙することで、ようやくそれが剥がれたポスター、風化した壁面、花といった異なる要素を巧みなバランスで一枚の写真のなかに収めたものであることがわかってくる。

展示風景より、「コダクローム」シリーズ

 こうした手法をギッリは「フォトディスモンタージュ(脱構築された写真)」と呼んだ。私たちが風景を見るときは、必ず目に映るものに優劣を与えている。カフェで対話をする相手を見る瞬間、その後ろに飾られた絵画や手元にあるカップの柄は、存在しないものとされる。ギッリの試みは、こうした恣意性を取り払い、風景における要素すべてをイメージのなかで等価的に扱おうという試みだったといえる。

展示風景より、右が《バスティア、1976》「コダクローム」より

編集部

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