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「横尾忠則 連画の河」(世田谷美術館)開幕レポート。「絵を描くことにはとっくの昔に飽きている」【3/4ページ】

 川下りのイメージを通り過ぎると、突如絵のなかに「メキシカン」なイメージが表れる絵画や、ポール・ゴーギャンによる《タヒチの女》を想起させるようなものも見受けられる。そのいっぽうで、横尾によって《コンヒューズの絵画》と題され、やや迷走していたことがわかるような絵も混ざっているのも、一貫したテーマを設けず、生活と地続きに描かれた絵画ならではと言えるのかもしれない。

展示風景より
展示風景より、手前は《連画の河、タヒチに》(2024)

 その後も、画面の半分に突如「壺」のイメージが大々的に描かれるような絵画も現れる。この一瞬を切り取ってしまえば、なぜこのテーマなのかを理解するのは難しいかもしれないが、「展覧会」という時間の流れを体感できる場所・機会だからこそ、横尾がたどった連想の軌跡を鑑賞者も追いかけながら楽しむことができるだろう。

展示風景より、手前は《大壺登場》(2024)
展示風景より
展示風景より、《ボッスの壺》(2024)。壺から伸びる日本の足は横尾の「Y」や「Y字路」を想起させる

編集部

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