恵比寿映像祭2025「Docs ―これはイメージです―」(東京都写真美術館ほか)開幕レポート

総合開館30周年を迎えた東京都写真美術館とその周辺施設で「恵比寿映像祭2025」がスタート。会場では「Docs ―これはイメージです―」をテーマに、11の国と地域から参加した39名のアーティストらによる作品が一堂に展示されている。会期は2月16日まで。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、カウィータ・ヴァタナジャンクール《A Symphony Dyed Blue》(2021)

 東京・恵比寿の東京都写真美術館をはじめとする周辺施設で、「映像とは何か」を問い続ける国際フェスティバル「恵比寿映像祭2025」がスタートした。会期は2月16日まで。

 17回目の開催となる今年の恵比寿映像祭には、11の国と地域から39名のアーティストらが参加。「Docs ―これはイメージです―」をテーマに掲げ、メディアの変容に着目し、幅広い作品群をイメージと言葉からひも解くことで、「ドキュメント/ドキュメンタリー」を再考することを試みるものとなっている。

出展アーティスト

 同映像祭は、美術館の3階スタートする。まず3階の展示室では、「コミッション・プロジェクト」の作品を紹介。これは、日本を拠点に活動するアーティストを選出し、制作委嘱した映像作品を“新たな恵比寿映像祭”の成果として発表するというもので、昨年度ファイナリストに選出された4名のアーティストによる映像祭のテーマと連動した新作が公開されている。

展示風景より、牧原依里《3つの時間》(2025)
展示風景より、小田香《母との記録「働く手」》(2025)

 ここでは、視覚と手話を中心とする人々の視点から実験的な映像やインスタレーション作品を制作する牧原依里による《3つの時間》、もっとも身近な存在である「母」の知らない一面をとらえた小田香による《母との記録「働く手」》、50年以上にわたって新潟水俣病患者の支援者を行ってきた旗野秀人さんにカメラを向けた小森はるかによる《春、阿賀の岸辺にて》、韓国の酒造の歴史にフォーカスことで日本による統治が同地の文化にどのような影響をもたらし続けているのかを追う永田康祐による《Fire in Water》が上映されている。どの作品も社会的な課題を孕みながらも、その対象は個人的なものから公のものまでと幅広い点が特徴的であった。

 なお、アーティストによって上映時間や形態がやや異なるため、詳細は公式ウェブサイトよりチェックしてほしい。

展示風景より、小森はるか《春、阿賀の岸辺にて》(2025)
展示風景より、永田康祐《Fire in Water》(2025)

編集部

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