太田記念美術館で「江戸メシ」開催。見どころをレポート【3/3ページ】

 江戸時代は日本の食文化がとくに花開いた時代でもあるというが、それは様々な場所で食事を楽しむといったアイデアがあったことが理由のひとつになっているのではないか。例えば、たまの外食で料亭を訪れたり、広重の《東都名所 高輪廿六夜待遊興之図》に描かれるように、天ぷらやそば、お汁粉などを屋台メシとして楽しむ人々の様子も描かれている。

展示風景より
展示風景より、歌川広重《東都名所 高輪廿六夜待遊興之図》(1837〜44)

 また、《東都両国橋川開繁栄図》では、隅田川に浮かぶ数々の船を描いているが、屋形船の横を通り過ぎる細長い船は、船上で軽食を販売していることがわかる。現代でいうフードデリバリーサービスがこの頃から存在していたのかと思うとなかなか面白い。

展示風景より、歌川国貞(三代豊国)《東都両国橋川開繁栄図》(1858)

 また、こちらは食事をしながら歌舞伎を楽しむ人々を描いた歌川豊国による《三座歌舞伎つゞき絵》だ。昨今のコロナ禍で歌舞伎座での飲食はしばらく禁止されていたが、現在は復活している模様。このように大胆に料理を楽しみながら観劇をしてみたいものだ。

展示風景より、歌川豊国《三座歌舞伎つゞき絵》(1817)
展示風景より、歌川豊国《三座歌舞伎つゞき絵》(1817、部分)

 2025年1月5日より開幕する「江戸メシ」展。出展作品に描かれた様相からは、季節や場所にあわせて食事を楽しむといった古き良き日本の文化を再確認することができるだろう。ただし、鑑賞中にお腹がならないよう注意が必要だ。

編集部

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