さらに、本展で新作を発表したアダムス、トーマス、松山は、ウェッセルマンが探求した現実、意味、知覚に関するテーマに共鳴し、それぞれの作品のなかで再解釈している。
アダムスはウェッセルマンの「グレート・アメリカン・ヌード」シリーズに対する対比として「スーパー・ヌード1-4」を発表し、アメリカン・ドリームの脆弱性を浮き彫りにしている。トーマスは、美、人種、ジェンダーの既成概念を解体し、とくに黒人女性に対する人種的ステレオタイプを批判的に見つめている。また、松山はウェッセルマンの知覚への探求をデジタル時代に移行させており、Adobeのプログラム、ベクターグラフィックス、3Dプリントなどを活用することで、知覚と技術の革新の限界を押し広げ、ウェッセルマンのレガシーを引き継いでいる。
本展のふたりのキュレーターは、「ウェッセルマンはダダとポップ・アート、現代アートの架け橋的存在だ」とし、「その影響は世代を超えて現代のアーティストにまで広がっており、ポップ・カルチャー、マルチメディア、スケールの革新的な使用を通じて彼のアプローチはいまなお生き続けている」と評している。
パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンを訪れる機会があれば、ウェッセルマンの作品をはじめ、ポップ・アートの歴史的な流れと現代の文脈を織り交ぜた本展をぜひ楽しんでほしい。