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「舟越桂 森へ行く日」(彫刻の森美術館)レポート。舟越桂が遺したもの【2/3ページ】

 次の展示室では、「人間とは何か」をテーマに、舟越氏の人間観を反映した作品が集められている。例えば、《山と水の間に》(1998)は「人は山ほどに大きな存在なのだ」と感じた体験がもとになって生まれた彫刻。同シリーズについて黒河内はこう話している。

 「人の想像力が山よりも大きい。夏目漱石の『三四郎』で、三四郎が上京する際に『熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より頭の中のほうが広い』と語る場面を思い出した。明治時代の文学者が言ったことを、現代の彫刻家が視覚化したのがこのシリーズだ」。

展示室2の展示風景より、右は《山と水の間に》(1998)
展示室2の展示風景より

 隣の小さな展示室は『おもちゃのいいわけ』のための部屋。『おもちゃのいいわけ』は、舟越が家族のためにつくったおもちゃが、姉の末盛千枝子によって1997年に出版されたもの。同書は、本展にあわせて27年ぶりに増補新版として刊行され、展示室では「木っ端の家」や「クラシックカー」といったおもちゃや、舟越が入院中に描き続けた創作のイメージデッサンや亡くなる数日前に自ら語った映像も展示。本展のハイライトのひとつとも言える。

展示室3の展示風景より
展示室3の展示風景より

編集部

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