2月26日、再開発が進む渋谷に新たに開業した施設「ハイアット ハウス 東京 渋谷」をご存知だろうか。「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」内にオープンした同施設は、渋谷の多面性をコンセプトにデザイン。総部屋数は125室で全室にキッチンが付いており、一泊から利用可能となっている。
「ハイアット ハウス」ブランドとしては東京初進出となるこの施設は、様々な現代アートが館内に常設展示されていることが大きな特徴。建築同様、「渋谷」を軸に8作家が選定された。アートコーディネーションを担ったのは、plugin+の武田菜種。
エントランスとなる2階には、ユカとケンタロウによる姉弟ユニット「SHIMURAbros」の作品 《TRACE-SKY-Floating Clouds 08》(2018)が展示。本作は、成瀬巳喜男監督の映画作品『浮雲』に登場する 「空」を再現したミクストメディア作品で、Googleストリートビューを使い、電線や パノラマ画像のつなぎ目などの歪みを可視化した。
渋谷駅から歩行デッキでつながる3階は、2作家の作品が迎える。まずはラファエル・ローゼンダールによる《 Into Time 14 06 06 》(2014)。このレンチキュラー作品は、2013年にNYで発表以来シリーズ化されているもの。鑑賞者の動きに応じて変化を見せる作品だ。
もういっぽうは、fumiko imanoによる写真作品群。35mmカメラで撮影したセルフポートレイトを切り貼りし、双子のモチーフに仕上げるフォトモンタージュのシリーズで知られるimaniの作品は、思わず微笑んでしまうようなユーモアあふれる家族写真風のイメージが特徴だ。
ロビーフロアとなる16階。エレベーターを降りるとすぐのスペースには、藤本由紀夫のオルゴール作品《V.-6-GREEN》(2022)と《V.-9-GREEN》(2022)が並んで佇む。前者は9つのオルゴールがそれぞれ様々な楽曲の一音のみを鳴らすもので、後者には6つの「星に願いを」を奏でるオルゴールが入り、音を奏でる。これらは鑑賞者が好きに操作することができ、そのときだけの音をつくりだすこともできる。
同フロアには、1964年生まれのロサンゼルスベースのアーティスト、デイヴ・ムラーによる作品も壁にかかる。これらは音楽レコードを引用したもので、古い値札や廃盤なったレコードショップのラベルまで細かく再現されている点に注目だ。音楽の文化的表象としての役割を静かに伝える。
また向かいのカウンターには、近年再評価の機運が高まる三島喜美代のセラミック作品2点、新聞をシルクスクリーンで陶に転写した《Newspaper 20-6》(2020)とタンボールに入ったコカコーラをセラミックで表現した《Box Coca Cola Zero 22-3》(2022)が静かに佇む。
加えて、同じフロアのレストランでは、「未完の始まり:未来のヴンダーカンマー」(豊田市美術館、2024)でも注目を集めたメキシコ拠点のガブリエル・リコによる刺繍作品も見ることもできる。
なお、宿泊室がある6〜14階のエレベーターホールには、石場文子による被写体の表面に直接水性ペンで線を描いたものを撮影したシリーズ作品が展示。2次元と3次元が入り組んだ作品が、少しの違和感をもたらすだろう。