「DESIGN MUSEUM JAPAN展2024」(国立新美術館)開幕レポート。新たに6つの「デザインの宝」を紹介
国立新美術館で、日本各地に存在する優れた「デザインの宝」を発掘し、ネットワークを試みる展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN展2024~集めてつなごう 日本のデザイン~」がスタートした。会期は5月26日まで。
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東京・六本木の国立新美術館で、日本各地に存在する優れた「デザインの宝」を発掘し、ネットワークを試みる展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN展2024~集めてつなごう 日本のデザイン~」がスタートした。会期は5月26日までの10日間。2022年の様子はこちら。
今年の参加クリエイターと選定地域は、竹谷隆之(造形作家、北海道)、小池一子(クリエイティブディレクター、秋田)、名久井直子(ブックデザイナー、山形)、片岡真実(キュレーター/森美術館館長、愛知)、永山祐子(建築家、滋賀)、永積崇(音楽家、愛媛)。
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展示構成を担当したデザイン史家・野見山桜は、2022年から継続して実施されるこの企画の意義を次のように述べた。「(デザインの意味が多様化するいま)『デザインってなんだ?』と再定義するタイミングに差し掛かっている。日本独自のデザイン文化をとらえ直すのが企画の主旨であり、様々な人にデザインについて考える機会としてほしい。各リサーチに加えて現物も見ることができるのが展覧会の良いところだと感じる」。
また、同じく2022年より会場構成を務めている建築家・田根剛も、日本におけるデザインミュージアムの在り方と本展の仕立てについて「デザインは近代以降のものととらえられがちだが、縄文以来続いている各地のものづくりにその考えのもとがある。最前線のクリエイターらの目を通じて、全国のデザインを発掘し、それをネットワークしていく」と語った。
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会場では、今回の参加クリエイターらと日本各地で探したデザインの宝が紹介されている。例えば、愛知県出身の片岡真実は常滑市に足を運び、旧帝国ホテルに使用された「すだれレンガ」や、ケーブルなどを土中で保護する電らん管を用いてつくられた「電らん管ハウス」(1955年頃竣工)に着目した。電らん管は通常人目に触れるものではないが、実物を見るとその美しい設計に驚くばかりだ。
また、本展におけるもうひとつのポイントは、野見山がその意義を述べていたように、参加クリエイター自身が「デザイン」について考え言語化している点にあると言える。各クリエイターらがリサーチを経て、デザインについてどのように考えたのかにも注目してほしい。
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小池一子は秋田県羽後町に赴き、国の重要無形民俗文化財かつユネスコの無形文化遺産でもある「西馬音内盆踊り」とその衣装に目を向けた。毎年の祭りに向け、保存会の女性たちによって古くから使用されている布を継ぎ合わせながらつくられる衣装。これらを着用し踊る人々を目の当たりにした小池は「(衣装を通じて)亡くなった人々と魂の交感をしているようであった」と語った。
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永山祐子は滋賀県大津市の石垣職人集団「穴太衆(あのうしゅう)」の本拠地を訪れ、比叡山延暦寺や里坊を守っていたという堅牢な石垣を取り上げている。口伝により受け継がれてきた「野面積み」(自然石をそのまま用いる工法)は、隙間に挟み込まれた小石が免震的な役割を果たしているほか、職人ごとに積み方の個性的な表現が見られる。機能と美しさのバランスがこれらの石垣の何よりの魅力であると言えるだろう。
そのいっぽうで永山は、この石垣が現行の建築法規では高さを出すことが認められていないことにも言及。制度のなかで埋もれゆく伝統工芸の存在にも目を向けることを展示のなかで伝えている。
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ほかにも、会場では来場者自身が発見した日本の「デザインの宝」を共有できる参加型ワークショップが2022年同様設置されているほか、いままでクリエイターらによってリサーチされてきたデザインの宝がアーカイヴできるような冊子も提供されている。
DESIGN MUSEUM JAPANでは、全国各地の「デザインの宝」の発掘のために今後もリサーチが続けられる予定となっている。なお、現在ロンドンで開催中のジャパン・ハウスでも同プロジェクトの取り組みが紹介されている(5月15日〜9月8日)。後日こちらについてのレポートも掲載予定だ。
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