北海道を拠点に活動する現代美術家・SHINSAKU DWの個展「404 NOT FOUND」が東京都・池尻大橋のOFS GALLERYで5月28日まで開催中だ。
OFS GALLERYは、植原亮輔と渡邉良重によるクリエイティブユニット・KIGI、ブルーストラクト(代表・森谷健久)らが運営するギャラリー。本展は東京都港区白金から移転後の第2弾となる企画展であり、個展を実施しているSHINSAKU DWは、植原、森谷の予備校時代の恩師に当たる。また3人は札幌時代に北海道を代表する抽象画家・花田和治に師事した共通の弟子でもあり、今回の個展では展覧会グッズなどとともに、その花田の画集も販売している。
おもにクリフォード・スティルなどの抽象表現主義やフランク・ステラに代表されるミニマリズムの影響を受けたSHINSAKU DWは、それらの思想を享受しながら、自身にとっての「絵画のあるべきすがた」を模索し続けている。
SHINSAKU DWの作品は、矩形のアルミニウム板に施されたペイントが特徴的だ。銀色の地に銀色のペイントや研削で描かれた2つの抽象絵画は、一定の決まりに従って裁断、互い違いに再構成されている。
支持体にアルミニウム板を使用する理由として、SHINSAKU DWは「ニュートラルな素材を使いたかったから」と語る。これは作家が制作の際に模索している対象のひとつ「自身のルーツ」にも関係しており、「自分は本州から北海道に移住してきた家族の4代目であるからか、北海道という土地の土着的な文化、あるいはその重みのようなものを、自分とのつながりのなかで感じることがない。それゆえ、木や竹、鉄、銅という、何かしら歴史を感じさせるような素材にはピンとこないのです」とも述べている。
作家でありながらトヨタのワンメイクレースに参加するドライバーという側面も持つSHINSAKU DW。会場のモニターでは、北海道のアトリエでの制作風景に加えて、自身がレースに出場しているときの様子も上映されている。「じつは芸術点で作品が評価される美術界よりも、勝ち負けがはっきりしているレースの世界に惹かれる」と作家は語るが、その作品制作に取り組む姿勢にはこういった部分も表れているのかもしれない。
「404 NOT FOUND」は「このURLは存在しません」という意味のHTTPステータスコードに由来するもの。SHINSAKU DWがレースで使用している車両の登録番号も、じつは「404」だ。北海道という多様なルーツを持つ人々が集まる土地で生まれ育った作家が、どこかでつねに感じている違和感や、根なし草的な感情。それが、多様な表面を見せるアルミニウムの作品群の背景には、確実に息づいているのだ。