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ウクライナ支援のために美術館が結束。ベルリン・新ナショナルギャラリーの試み

昨年リニューアルオープンを迎えたベルリンの「新ナショナルギャラリー」。20世紀近代・現代美術作品を中心に展示する同館が音頭をとり、市内各地のアートスペースが結集し、ウクライナへの寄付を集める2日間のアクションを開催した。

文=河内秀子

新ナショナルギャラリー Foto by Gianni Plescia

 2月27日、ベルリンではロシアによるウクライナ軍事侵攻に反対し、ウクライナへの連帯を示す10万人以上が参加するデモが開催された。

 このデモに参加して友人たちと様々な言葉を交わしたことから、ウクライナへの寄付を集めるアクションを行おうと思ったと、新ナショナルギャラリー館長クラウス・ビーゼンバッハは語る。

 「この不安のなかでひとりではないと思えること、一緒に行動することが大切じゃないかと思ったんです」。

自ら受付に座る新ナショナルギャラリー館長のクラウス・ビーゼンバッハ(左) Foto by Gianni Plescia

 ベルリン・ビエンナーレ、ギャラリー・ウィークエンドをはじめ、博物館島にある美術館群やベルリン芸術大学らも賛同し、3月5日12時から6日24時までの36時間の寄付アクションがスタートした。

博物館島の旧ナショナルギャラリーもウクライナ国旗を掲げていた Foto by Gianni Plescia

 ミース・ファン・デル・ローエが手がけた「新ナショナルギャラリー」の常設展示室は地下フロア。ちょうど空いていた1階のエントランスホール部分に、誰もが自由に参加できるステージ「オープンマイク」をつくり、常設展のなかからオラファー・エリアソンの作品、そしてウクライナ出身の彫刻家、アレクサンダー・アーキペンコの作品を展示した。

エントランスホールに設けられたオープンマイク Foto by Gianni Plescia
アレクサンダー・アーキペンコの彫刻 Foto by Gianni Plescia
オラファー・エリアソンの作品 Foto by Gianni Plescia

 ステージには飛び入りでミュージシャンが演奏を行なったり、来場者が自分の不安や思いを吐露したりもした。

 昨晩までの時点で約4万ユーロの寄付が集まったという。このお金は、まずはモルドバとウクライナ国境にドイツ行きのシャトルバスを手配するために当てられ、そのほかオデッサとキエフの病院の薬、ドイツ国内の宿泊施設への支援になるという。

美術館に掲げられたウクライナへの寄付を募るバナー Foto by Gianni Plescia

 新ナショナルギャラリーの横で現在工事が進んでいる20世紀美術館。

 その工事現場にはハンス・ハーケが前回のドクメンタから始めたプロジェクト「Wir (alle) sind das Volk 私たちは(皆)人民である」のポスターが貼られていた。12ヶ国語で書かれたこのスローガンは、1989年に東ドイツの民主化運動、平和革命の際に叫ばれたものだが、近年では極右のデモなどで移民や難民に反対する際の言葉として曲解されて使われている。ハーケは、この「私たちは人民である」という言葉に(皆)と注釈を入れて虹色の背景の上にプリントした。ウクライナからの国境で人種差別が行われたという報道もある。すべての助けを求めている人への連帯を、そして一刻も早く平和が戻ることを願ってやまない。

ベルリンフィルハーモニーと新ナショナルギャラリーの間に2026年に完成予定の20世紀美術館。工事現場にはハーケのポスターが Foto by Gianni Plescia

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