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井田幸昌がRICOHの2.5次元印刷技術で挑んだ平面。個展「思層|Ontology」で新作を披露

近年注目を集めるアーティスト・井田幸昌がRICOH ART GALLERY で個展「思層|Ontology」をスタートさせた。本展では、RICOHの2.5次元印刷「StareReap(ステアリープ)」を使って取り組んだ新作をはじめ、版画作品のみが並ぶ。

展示風景より、「StareReap(ステアリープ)」で制作された作品群

 東京・銀座のRICOH ART GALLERYで「一期一会」をコンセプトに作品を生み出している画家・井田幸昌の個展「思層|Ontology」が始まった。会期は2022年1月8日まで。

 井田は1990年鳥取県生まれ。2016年に東京藝術大学美術学部油絵科を卒業し、19年に同大学大学院を修了。16年には現代芸術振興財団主催「CAF賞」で審査員特別賞を受賞し、翌17年には世界的な作家とともにレオナルド・ディカプリオファウンデーション主宰のチャリティーオークションへ最年少で参加した。近年ではカイカイキキギャラリーや銀座 蔦屋書店などで個展を開催。直近では「ディオール」とのコラボレーションを発表するなど、注目を集める存在だ。

 本展「思層|Ontology」は、井田がRICOHの2.5次元印刷技術「StareReap(ステアリープ)」を使って制作した新作群を初披露するもの。日本国内では約2年ぶりの個展となる。

展示風景より、井田幸昌《Ogata》(2021)と《Self portrait》(2021)

 井田は2019年、自身の作品集『YUKIMASA IDA:Crystallization』特装版の制作において「StareReap」と出会い、幅広い質感表現を得意とする「StareReap」の技術と可能性に惹かれたという。

 絵画の物質性、マチエールにこだわることで知られる井田。「StareReap」は膨大な版を重ねることで平面作品を立体的に見せることが可能な技術だが、今回はあえて版を多く重ねることはせず、「平面性で勝負しようと思った」という。

 2年という歳月をかけて完成させた作品群は、井田のペインティングとはまた一味違う平面の可能性を帯びていると言えるだろう。井田自身も絵画では難しいレイヤーや色彩、強度を具現化できたと語っている。2年という井田の経験・思いの積層とも言える本展で、その成果を目撃してほしい。

展示風景より、ともに井田幸昌《Self portrait》(2021)

 なお、本展では「StareReap」のほか、リトグラフ、シルクスクリーンの作品も展示。合計3種類の異なるプリント技法で制作された版画作品計55点から、画家・井田幸昌の現在形を概観するものとなっている。

展示風景より、ともに井田幸昌《King of limbs》(2021)
展示風景より、リトグラフの作品群
展示風景より、シルクスクリーンの作品群

編集部

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