2013年の初開催以来、作品購入で賞を授与する「コレクターズ・プライズ」や、個展開催をバックアップするレコメンドアーティストなど、独自のシステムで存在感を確立してきた「3331 ART FAIR」が、今年10回目の開幕を迎えた。
今年はギャラリーブースがこれまでの体育館から1階メインギャラリーのホワイトキューブに変更。初出展のeitoeiko、EUKARYOTE、CAVE-AYUMIGALLERY、SNOW Contemporary、√K Contemporaryのほか、Gallery Qなど計26のギャラリーがプレゼンテーションを行っている。
いっぽう、2階の体育館「Selection-GYM」では木村絵理子(横浜美術館主任学芸員)、田中みゆき(キュレーター/プロデューサー)、西田編集長(インディペンデント・キュレーター / プロジェクト・マネージャー)、山本浩貴(金沢美術工芸大学講師)といったキュレーター陣が選出する新進気鋭のアーティストがグループ展形式で出品。とくに西田編集長がキュレーションした巨大なブースは一際目を引くものとなっている。
また今年は屋上の特別展「のけもの」をFL田SHのディレクター・吉田山がキュレーション。1階ウッドデッキには「カタルシスの岸辺」によるインスタレーションが設置されるなど、エッジの効いた作品も楽しみたい。
特筆すべきは1階で展開されている「NFTとアートのこれから『符号理論/Coding Theory』」だろう。いま、アートマーケットをもっとも賑わせているNFT。ここでは先駆的にメディア・アートに取り組んできた中村政人、中ザワヒデキ、藤幡正樹、藤本由紀夫の4名がNFTに挑戦。藤幡は、かつて自身が手がけたドット絵をデジタル化し、その購入権を販売。購入者数によってエディション数、あるいはひとりあたりの購入価格も変わるというユニークなNFTを手がけた。「NFTアート」という言葉が独り歩きしているいまだからこそ見ておきたい作品群だ。
これまでになくバリエーション豊かな内容となっている「3331 ART FAIR」。ディレクターの中村政人は「若いアーティストたちのセンシティブな心の動き、時代への応答が作品に現れてきていることに注目してほしい」と意気込む。