新型コロナウイルスの影響で、今年春の開幕が延期されていた「さいたま国際芸術祭2020」が、ついに開幕を迎えた。
「さいたま国際芸術祭2020」は、2016年に芹沢高志のディレクションで行われた「さいたまトリエンナーレ2016」を前身とする芸術祭。映画監督・遠山昇司がディレクターを務め、「花」をテーマに展示が構成されている。
会場はオンサイト(実際の会場)とオンラインの両方で展開。コロナによって会場に来場できなくとも芸術祭を楽しんでほしいという思いから、オンラインでは実際の作品が展示されている様子や作品のエッセンスを伝える映像が配信されている。
いっぽうの実際の会場は、旧大宮区役所(メインサイト)および旧大宮図書館(アネックスサイト)のほか、鉄道博物館、大宮図書館、埼玉会館、宇宙劇場ほか市内各所がスプラッシュサイトとして位置づけられている。
メインサイトでは、梅田哲也や篠田太郎、須田悦弘、高木正勝/OleO/高田政義、平川恒太、フランク・ブラジガンド、ミヤケマイといったアーティストが作品を展開。旧大宮区役所の建物全体を使用し、それぞれの作家の展示規模が大きいのが特徴だ。また鑑賞順路は推奨ルートが設定されており、映画監督である遠山ならではの演出と言えるだろう。
メインサイトからほど近い、旧大宮図書館(アネックスサイト)では、灰原千晶、カニエ・ナハ、北條知子、小嶋宏維、久保寛子が参加する公募キュレータープロジェクト「I can speakー想像の窓辺から、岬に立つことへ」展(キュレーター:戸塚愛美)のほか、ローカルプロジェクト「さいたまスタディーズⅡ」など、多種多様なプログラムを見ることができる。
また街中(スプラッシュサイト)では、最果タヒによる巨大な詩のインスタレーションなども展開。完全予約制(日時指定、街中を除く)だが、すべてが無料で楽しめることも大きな特徴だ。
コロナによって当初のかたちから変わらざるをえなかった「さいたま国際芸術祭2020」。「花」というテーマがこのコロナ禍の時代にどう響くのか、その目で確かめてほしい。