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ジュリアン・オピーが見せる「物語」。日本では11年ぶりの美術館個展が東京オペラシティ アートギャラリーで開幕

点と線という最小限の要素によって、生き生きとした人物像や風景を表現するジュリアン・オピー。その日本の美術館では11年ぶりとなる個展が東京オペラシティ アートギャラリーにて幕を開けた。新作を中心に構成される本展の見どころとは?

会場風景より

 「点」と「線」という最小限の要素で構成された人物像や風景。誰が見てもひと目でわかるジュリアン・オピーの作品は、世界的にも人気が高い。そんなオピーの、日本では11年ぶりとなる個展が初台の東京オペラシティ アートギャラリーで始まった。

 オピーは1958年イギリス・ロンドン生まれ。80年代よりヨーロッパのアートシーンで頭角を現し、いまや世界各地でプロジェクトを展開。今年だけで本展を含め、6もの展覧会を行っている。またパブリック・アートとして設置される例も多く、日本では電通本社ビルや高松港のほど近くでその作品を見ることができる。

展示風景より、手前は《Walking in London》(2019)

 オピーといえば、目を黒い点で表現した、シンプルながらもモデルの個性や性格を的確に伝えるようなポートレイトが代表的だ。しかし近年は、人物の全身を側面から表現した作品が多く、さらなる省略化が見られる。

 本展を構成するのは、2018〜19年に制作された27点の作品。その中には高さ6メートルもの巨大な平面《Walking in Boston 3》《Walking in New York 1》(ともに2019)や、4面LEDの立体作品、20台ものLEDスクリーンをつなげた《Carp》(2019)など、オピーならではの、多種多様なメディウムを使った作品群が並ぶ。

展示風景より、《Crows》(2018)
展示風景より、《Carp》(2019)

 また、本展では2点のサウンド・アートが出品されていることにも注目だ。日本初の展示となるこれらの作品。例えば《Blackbird》(2019)では、その名の通りブラックバードの鳴き声を収集し、コンピュータに取り込んでから、独自のアルゴリズムによって音を生成する、という手法が用いられている。さながら会場のBGMのように流れるこの作品も、逃さずチェックしてほしい。

 自身がキュレーションにも関わったというこの個展。オピーは次のように語っている。「できるかぎり、いいかたちで私の作品を見てもらいたい。音楽を聴くかのように、映画を見るかのように、(鑑賞者が)物語を紐解く体験をどうすればできるかを考えました。(鑑賞に)決まりごとはありません。好きなように作品を見て、全体の物語をわかちあいたいと思います」。

ジュリアン・オピー

編集部

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