1969年、東京に生まれた五木田智央は、そのキャリアをイラストレーションから出発した。その作品は、1960〜70年代のアメリカのサブカルチャーやアンダーグラウンド雑誌、写真にインスピレーションを受けており、黒と白のモノクロームを基調とする独特の世界を築き上げてきた。
本展「PEEKABOO」は、国内の美術館個展としては2014年にDIC 川村記念念美術館で開催された「THE GRATE CIRCUS」以来、4年ぶり。
展覧会は大きく分けて2つのセクションで構成。最初のセクションでは2015〜17年に制作された近作が並び、ここではKAWSや前澤友作が所蔵している作品なども展示されている。すべて五木田が自らセレクトしたもので、代表作が並んでいると言っていいだろう。
この展示室を抜けると、2018年に制作された作品が迎えてくれる。キャンバスの作品も圧巻だが、展示室の一番奥を陣取るインスタレーションは必見だ。これは、もともと3つに分かれていた作品群(それぞれの作品名はすべて《untitled》)を、1つのインスタレーションとして再構成したもの。800点におよぶ小品を3日間をかけて構成したもので、各小品に描かれた多様なモチーフがこちらに迫ってくるかのような感覚を覚える。
また、大のプロレスファンである五木田による、プロレスラーをレコードジャケットのフォーマットで描いた肖像画シリーズ「Gokita Records」も出品。200点を超える本シリーズは、2002年から2018年まで継続して制作されたもので、プロレスラーの似顔絵とその名前、そして実在する有名な楽曲タイトルで構成されている。
まさに五木田智央の現在形が並ぶ本展。ぜひその目で確かめてほしい。