アール・ヌーヴォーを代表する画家であり、国内でも高い人気を誇るアルフォンス・ミュシャ。その知られざる画塾の教師としての一面に光を当てる企画展「ミュシャとパリの画塾」が、大阪の堺 アルフォンス・ミュシャ館で開催される。会期は前期が12月2日〜2024年2月4日、後期が2月8日〜3月31日。
若き日のミュシャは国籍、性別、年齢、技術を問わないアトリエで、アカデミズムの巨匠に画を学んだ。やがてポスター画で脚光を浴び、装飾画家として活躍するようになったミュシャだが、同時に彼は画塾で次世代にデッサンや構図を教えていた。生徒のなかには日本人の画学生もいたという。
本展は、教師としての知られざるミュシャの姿を、堺のミュシャコレクションを中心とした総数約100点を紹介するものだ。貴重なデッサンや下絵を主役に、ポスターから油彩までパリ時代の多彩な作品を紹介し、ミュシャが画を学んでいた修業時代や、あまり知られていない「教師」としての顔を浮かび上がらせる。
さらに、府中市美術館が所蔵するミュシャの師匠であるジャン=ポール・ローランスとラファエル・コランの油彩画が特別出品され、師弟の再会が演出される。加えて、ミュシャから直接指導を受けた鹿子木孟郎、中村不折、河合新蔵、和田英作といった日本人洋画家の作品も集結する。
ミュシャがどのような言葉を生徒たちに投げかけていたのかについても考察。ミュシャ・スタイルの指南書的画集『装飾資料集』を、ミュシャが説いた言葉を手がかりに読み解くとともに、画集の活用法のひとつである「模写」の再現展示も実施する。
また、エピローグとしてミュシャと堺の関係性にも着目。「与謝野晶子とミュシャの共演?」「吉田初三郎はミュシャの孫弟子?」「中村不折と堺の芥子餅(けしもち)?」といったトピックで、その関係をひも解く。
同時開催される、ミュシャを実験的なまなざしで紹介するシリーズ展「ミュシャLabo」の#04「文字」にも注目したい。演目名、商品名、キャッチコピーなど、ミュシャの商業ポスターに刻まれている文字を取り上げ、こちらも新たな発見が得られそうな企画だ。
ミュシャを取り巻く「学び」をとりあげる意欲的な展覧会。堺 アルフォンス・ミュシャ館に足を運んで、ミュシャの知られざる一面に触れてみてはいかがだろうか。