自身の生まれ故郷を主題に失われていくものを見る。第25回写真「1_WALL」グランプリ受賞者・岡﨑ひなたの個展が開催へ
自身が生まれ育った和歌山県の小さな村を撮影し、都市化によって失われつつあるものを取り上げた《水面にカゲロウ》で第25回写真「1_WALL」グランプリを受賞した岡﨑ひなた。その個展「空蝉ミ種子万里ヲ見タ。」が銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。会期は5月23日〜6月24日。
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第25回写真「1_WALL」でグランプリを受賞した岡﨑ひなたの個展「空蝉ミ種子万里ヲ見タ。」 が、5月23日〜6月24日に銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。2009年から続いてきた「1_WALL」展の最後のグランプリ受賞者となる。
岡﨑は2002年和歌山県生まれ、日本写真映像専門学校写真コミュニケーション学科写真表現コースを卒業。
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第25回写真「1_WALL」で受賞した《水面にカゲロウ》は、自身が生まれ育った、和歌山県の人口1942人の小さな村を撮影し、都市化によって失われつつあるものを取り上げた。審査員の小原真史(キュレーター)は本作について、「古くからの風習や祭祀が残る和歌山県の山村から写真を学ぶために都市部へと出たことが岡崎が住み慣れた故郷を見直す契機となったという。そのレンズが向けられるのは、山や川、海と結びついた共同体における日々の営みであり、神仏や祖先との紐帯を維持しながら生きる人々の姿である。一瞬を捉えたスナップ写真の中に、その場所に積層してきた過去の時間もが二重写しとなって幻視できるかのようだ」としたうえで、「リニアな時間軸が揺らぎ、ふと別の時間が侵入してくるような瞬間を巧みに捉えているとも言えるかもしれない。一つのイメージをそこにはない別のイメージに連結させる技量は、老練なスナップシューターのようにも見えるが、『1_WALL』が求めてきた『これからの人』でもある」と評した。
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今回の個展では、村の祭りで流鏑馬に使われる馬の口元、お盆飾りを燃や す人、初泳ぎに人々が集まる様子、朝焼けを背に蟹を抱え上げる漁師、廻しを締め祭りに向かう子供など、自身が生まれ育った村や、その周辺の村で暮らす人々の日常を撮影した写真を展示。
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本展の展示作品からは、いまも人々の生活の中に日本古来の文化や信仰心が根づき、山や海、森、川、生き物から恵みを受け、共有し助け合いながら生活している様子をうかがい知ることができる。変わり続ける都市と、変わらない文化が残る村の両方を知った岡﨑は、日本古来の文化を再認識し、村の現在を写すことで、自身が重んじている文化を後世に残すことを試みたという。
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本展について岡﨑は次のような言葉を寄せている。
今もまさに世界中で一過性を含む事象が起こり続けている。
その時々に私は神様の気配を感じ、写真というツールを用いてそれらに触れる。
現在、変化する不変をテーマに、自身の故郷である和歌山県の過疎地域にフォーカスをあて、制作を行っている。
潮と緑の香りは在るべき形と在って欲しい形を風に乗せ私の所に連れてくる。
土地から命を貰いそれらを分け合い資本にも変換する、この複合的な営み。
獣、植物、人、魚、海、山……万物は何を見て何処に行くのか。
時代性を踏まえ形を変えなければ淘汰される現状と守らなければいけない在り方。
この様に今大切なものが少しずつ変容し姿を変えつつある。
変化と普遍の狭間から、私はイメージと事実を写真を用い声明する。
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なお会期中の6月9日には、写真家の津田直をゲストに迎え、トークイベントを開催。岡﨑の作品を通して、変わっていく万物に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
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