「現代のドガ」とも称され、世界のバレエダンサーを描き続けた画家、ロバート・ハインデル(1938~2005)。その日本でのデビュー30周年を記念する展覧会が、6月28日〜7月10日の会期で東京・渋谷にある代官山ヒルサイドフォーラムで開催される。
ハインデルは1938年アメリカ生オハイオ州生まれ。29歳で『Time』誌の表紙を飾り、以来、アメリカの基幹企業の広告および一流雑誌に作品を提供し、アメリカを代表するアーティストとして活躍した。80年代以降、バレエを描く画家として、欧米の一流バレエ団から公演前のリハーサルに招かれ取材を行い、アメリカやイギリス、オランダで作品を発表し続けた。
1992年5月、日本では初となるハインデル展「英国ロイヤルバレエ団来日記念 ロバート・ハインデル」が日本橋高島屋で開催。以降、30年のあいだに全国の百貨店をはじめ、酒田市美術館や長崎県美術館、そごう美術館、そして、2020年に代官山ヒルサイドフォーラムなどで40回以上の展覧会やイベントが行われてきた。
今回の展覧会のサブタイトルは「Modern Realism」。「現代的」や「今風で洒落ている」などの意味をもつ「Modern」という言葉は、ハインデルが切りとった、スピード感や躍動感、感情の機微などを表すもの。ハインデルは時代をモダンな感性で描いた画家といっても過言ではない。
本展は、 日本初公開のバレエ、オペラ座の怪人の作品を含む原画約60点で構成。また、ハインデルを愛したコレクターのひとり、高円宮憲仁親王殿下が所蔵した作品《The Wall》や、ハインデルが高円宮妃久子殿下に送られた憲仁親王殿下の素描作品、殿下とハインデルが語られた芸術についての対談資料も特別展示される。
日本でのデビューから30年間を経て、ハインデルの作品が伝える人間の精神性や生命の尊厳を、本展であらためて感じとりたい。