2020.11.11

「東京ビエンナーレ 2020/2021」が開催延期で資金難に。クラウドファンディングで支援を募る

新型コロナウイルスの影響で1年間の延期を余儀なくされた「東京ビエンナーレ 2020/2021」が、再調整費・諸維持費をめぐる資金難に直面しているため、クラウドファンディングをスタートさせた。目標金額は500万円。

「東京ビエンナーレ 2020/2021」のロゴマーク Photo by Masanori Ikeda(YUKAI)
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 今夏開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で1年間の延期を余儀なくされた「東京ビエンナーレ 2020/2021」。開催延期により再調整費・諸維持費をめぐる切実な資金難に直面している同芸術祭が、支援を募るクラウドファンディングをスタートさせた。

 かつて戦後の復興期、上野の東京都美術館で行われていた国際展「東京ビエンナーレ」。第10回の開催から半世紀が経ち、千代田区・中央区・文京区・台東区の学校や歴史的建造物、公共空間、遊休空間、水辺など東京都心の約50ヶ所を舞台に、新しい東京ビエンナーレが立ち上がる。世界中から幅広い表現者が集結し、町に宿る文化を感じ取りながら地域とともにつくりあげる新しい芸術祭は、2年に一度の継続開催を目指している。

竹内昌義、中田理恵 タイニーハウスフェスティバル 2019 photo by YUKAI (C) 東京ビエンナーレ

 行政主体ではない、民間主導の国際展であることも同芸術祭の特徴のひとつ。主催者である東京ビエンナーレ市民委員会の共同代表を務める小池一子(クリエイティブディレクター)と中村政人(アーツ千代田3331統括ディレクター)は、同芸術祭について次のように語っている。

 「東京ビエンナーレは、アートのための国際催事というより、『同じ時代の表現者が同じ町を舞台に、しかし各々の方法で面白いことをやっている』状況からライブ感あるシーンが発芽し、エネルギーとなる場をつくりたいと考えています。加えて、開催エリアに暮らし・働く市⺠の方々と専門家で『市⺠委員会』を立ち上げ、地域とともに活動を続ける『エリアディレクター』となり、町に宿る文化資源を感じながら、地域の方々とつくりあげていくのも、大きな特徴です。東京という都市にこうした枠組をつくることで、多様性と協同性が共存し、個人の想像力と都市の想像力がシンクロする芸術祭を実現しよう、と皆で準備を進めています」。

東京ビエンナーレ2020/2021総合ディレクター、左から中村政人、小池一子 photo by Yusuke Tsuchida (C) 東京ビエンナーレ

 また、クラウドファンディングについては、小池と中村はこう続ける。「東京ビエンナーレは行政主導とも異なる、市⺠がつくる芸術祭です。だからこそアートへの関心や価値観の違いを超えて多くの方々と、この体験を共有したいと願っています。それは、新型コロナの経験もふまえた新たな東京の見え方を生み、既存の価値を読み替えるきっかけにもなるはずです。私たち自身、今回まさに新型コロナの影響で開催延期・資金難の大きな苦境に立っていますが、これを乗り越えてぜひ皆さんと共に初開催を実現したく、クラウドファンディングに挑戦する次第です。ご賛同いただけるなら、ぜひともご支援をお願い致します」。

 11月11日〜12月25日に実施されるクラウドファンディングの目標金額は500万円。リターンとしては、芸術祭チケットや図録のほか、参加作家による限定グッズ、作品、プロジェクト体験権などが与えられる。詳細はクラウドファンディング開始時に公式サイトにて公開予定となっている。