和歌山県紀南地域で、11月18日~28日に初開催される芸術祭「紀南アートウィーク」の詳細が明らかになった。
同芸術祭の総合プロデューサーは、紀南地域出身で、世界18ヶ国で法律事務所を展開する藪本雄登。藪本は東南アジアメコン地域のアートに特化したアウラ現代美術振興財団も運営している。また、アーティスティック・ ディレクターは、アートコレクターで横浜美術大学学長、森美術館理事の宮津大輔が務める。
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アートウィークが開催される「紀南」とほぼ同義である「牟婁」という地名には、「籠もる」「隠る」「神々の室」という由来があり、豊かな山林資源の中に籠り、内面的な世界を探求することに秀でた歴史的な特色を有してきた。いっぽうで紀南地域は黒潮とともに移民文化を醸成するといった開放性も特色だ。地域のこうした「『籠りの文化』と『港の文化』」をテーマに、コロナ禍により世界が閉じているなかでも「閉じながらひらく」ことの重要性に着目し、地域の歴史的価値を再発見し、世界に発信することを目指す。
会場は大きく観光都市である白浜と、紀南の商業中心地である田辺の2地区に分けられる。白浜では市街地のほか南紀白浜空港や川久ミュージアム、白浜アドベンチャーワールドなど、田辺では市街地に加えて南方熊楠顕彰館でも展示を実施。8ヶ所で16の作品を展示する。
参加アーティストはカンヌ映画祭最高賞受賞のアピチャッポン・ウィーラセタクンや、「ドクメンタ15」(2022年開催)のアーティスティック・ディレクターを務める「ルアンルパ」のアデ・ダルマワン、ホー・ ツーニェンといった世界的に注目を集めるアジアの著名アーティストら。
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また、日本を代表する現代音楽家の一柳慧、バイオ・アートを手がける長谷川愛、紀南出身の前田耕平や河野愛らの参加が決定している。
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同アートウィークは民間主導であることも特徴のひとつ。初年度は実行委員長の自己資金を中心に協賛や寄付を集め、行政の予算や補助金に頼らない開催を行う。さらに、中~長期的には事業展開で収益を上げ、持続可能な体制づくりを目指すという。
開催に際して、クラウドファンディングによる支援の募集も開始。150万円を目標に11月16日までクラウドファンディング・プラットフォームの「モーションギャラリー」で支援を募っている。