劇団「天井桟敷」の主宰のほか、歌人、詩人、作家、演出家、映画監督など、無数の肩書きを持つ寺山修司(1935~83)。青森県弘前市で生まれた寺山は、県立青森高校在学中より俳句や詩に早熟の才能を発揮。早稲田大学教育学部に入学した54年には、50首詠「チエホフ祭」で短歌研究新人賞を受賞し、気鋭の歌人として注目を集めた。
以後、放送劇や映画作品、評論、写真まで多岐にわたる表現活動を行った寺山だが、なかでも演劇への造詣は深く、67年には東由多加や横尾忠則らと劇団「天井棧敷」を設立。見世物小屋的要素で始まったアンダーグラウンドな活動も、劇場から市街へ、演劇の革命を遂行し、そのラジカルな問いかけはやがて国際的に多大な反響を呼ぶ。
また寺山は、写真は「真を写す」のではなく「偽をつくる」という持論をもとに、自ら撮影した写真にシミや着色を施し、さらには詩文を書き込みながら、不出の贋絵葉書作りに没頭していた。怪奇とエロティシズムに彩られた作品は発表されるとともに国内外で話題となったが、今回そこからまた40余年眠りつづけた作品群が展覧会形式で蘇る。