上海中心部に110ギャラリーが集結。第6回「アート021 上海コンテンポラリー・アートフェア」を振り返る
現代中国のアートシーンを代表する「アート021 上海コンテンポラリー・アートフェア」が11月8日にスタートした。今年第6年目となるフェアの見どころを、レポートで紹介する。
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上海市内中心部に位置する、築63年の旧ソ連様式の上海エキシビジョン・センター。ここで、4日間にわたる「アート021 上海コンテンポラリー・アートフェア」が、11月8日よりスタートした。
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今回のフェアは、「メイン・ギャラリーズ」「ビヨンド」と「ビヨンド・エクステンド」「アプローチ」「デツアー」といった4セクションで構成。
フェアの中心となる「メイン・ギャラリーズ」では、メイン・ホールをはじめとする4つのホールに86のギャラリーが集結している。村上隆を個展形式で展示しているガゴシアンや、ミニマリズムの作家を中心に紹介するデイヴィッド・ツヴィルナーなどのメガギャラリーが、会場の中心部にある巨大なメイン・ホールで多彩な作品を展示。
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ガゴシアンのブースでは、村上隆の代表作である「お花」をモチーフにしたシリーズに加え、ルイ・ヴィトンのメンズディレクターであるヴァージル・アブローとコラボレーションして制作され限定品のバッグも販売された。ガゴシアンのディレクター・王涵怡(ワン・ハンイー)は、「これらのバッグはすべて売り切れで、お花のシリーズも完売しました。上海では芸術が多元化していますが、トレンドにあった村上の作品は、上海の若者のファッショナブルな趣向に合っているのではないでしょうか」とコメントしている。
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アート021と同時期に開催されているウェストバンド・アート&デザインでダン・フレイヴィンの洗練されたミニマリズムの作品を展示することで、話題となったデイヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリーは、ここではグループ展を展開。ヴォルフガング・ティルマンスの写真作品《Shenzhen Still Life》(2018)やフランシス・アリスの絵画《Untitled》(2011-12)などの作品が並んでいる。
デイヴィッド・ツヴィルナー香港のディレクター・許宇(レオ・シュー)は、「現在、アジアではミニマリズムに対する注目が高まっています。例えば、11月15日からデイヴィッド・ツヴィルナー香港では、ダン・フレイヴィンなどの4人のアーティストによるグループ展を開催します。また、シンガポールのナショナル・ギャラリーでは、大規模なミニマリズム展覧会が来週開催されます。これは、ミニマリズムの春とも言えるでしょう」とコメントしている。
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ハウザー&ワース・ギャラリーのブースでは、ルイーズ・ブルジョワやラッシード・ジョンソンなどのアーティストによる作品を展示。なおハウザー&ワースはスペシャルパートナーとして、上海の龍美術館とルイーズ・ブルジョワの個展「THE ETERNAL THREAD」を、またQiao Spaceとマシュー・デイ・ジャクソンの個展を開催している。
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このほか、アート021では日本のギャラリーも数多く出展。ウェストバンド アート&デザインにも参加しているオオタファインアーツに加え、ホワイトストーンギャラリーは草間彌生や奈良美智など日本を代表するアーティストの作品を販売。また、MAHO KUBOTA GALLERYはジュリアン・オピーをはじめとするアーティストの絵画作品を展示し、艸居は個展形式で李禹煥のインスタレーション作品を紹介している。
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パブリック・アートも注目のポイントだ。大規模な絵画、彫刻、インスタレーション作品を展示する「ビヨンド」と「ビヨンド・エクステンド」セクションでは、日本のアーティスト・小松美羽がライブ・ペインティング・パフォーマンスを披露するほか、現在東京のオオタファインアーツで日本初個展を行っている中国・杭州のアーティスト、程然(チェン・ラン)は巨大なインスタレーション作品《ひとつの耳》(2018)を会場の広場に設置。一際存在感を放っていた。
程然はこの巨大な猫型の作品について、「この作品は、道で拾ったひとつの耳しかない野良猫をインスピレーションに制作したものです。小さくて孤立無援の野良猫のイメージを巨大なものに作品化することで、命に関して再認識するきっかけをつくりたい」と話す。
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このほか、若いアーティストを個展もしくは3人以内のグループ展で紹介する「アプローチ」や、ラテンアメリカや東ヨーロッパ、中央アジア、南アジアなど新興市場のギャラリーを紹介する「デツアー」など様々なセクションがあるアート021。上海の中心部で、多種多様な作品と出会える機会となった。