3月28日〜30日に香港で開催されるアジア最大級のアートフェア「アート・バーゼル香港」が、今年の特別展示部門などの詳細を発表した。
今年のフェアには、42の国と地域から240の出展者が参加。国内外で評価の高いギャラリーが集まるメイン部門「ギャラリーズ」のほかにも、様々な特別展示が予定されている。
例えば、「エンカウンターズ」は、大型インスタレーションを特集するセクションで、世界各地のアーティストによる18点の作品が展示。今年はアレクシー・グラス・カントワーがキュレーションを務め、「As the World Turns」(めぐりゆく世界)というテーマのもと、4つの主題に分けて構成される。
「キャビネット」では、ギャラリーのメインブース内でテーマごとの展示が行われ、今年は過去最多となる36のギャラリーが参加する。とくにアジア太平洋地域やアジア系ディアスポラのアーティストによる個展が中心となり、地域のアートシーンを深く知ることができる貴重な機会となる。
また、新たに創設された「MGMディスカバリーズ・アート・プライズ」は、新進アーティストを支援することを目的としており、国際的な審査員団によってシン・ミン(P21 所属)、カヨデ・オジョ(スイートウォーター 所属)、サジュ・クンハン(タルク所属)といった最終候補3名が選ばれた。この賞は、受賞者に5万米ドルの賞金とともに、マカオでの作品発表の機会も与えられる。
フィルム部門では、香港の独立芸術機関パラサイトが企画を担当し、「In Space, It’s Always Night」(宇宙はいつでも夜)というテーマで30名のアーティストによる作品を集めた7つの上映会が行われる。とくに、イザドラ・ネヴェス・マルケス監督の『Vampires in Space』(2022)をはじめとする、環境、社会、テクノロジーなどをテーマにした映画が紹介され、現代の社会と人間の存在に対する深い洞察を提供する。
「カンバセーションズ」では、アートと文化の潮流について有識者たちが議論を交わすパネルディスカッションが行われる。今年のテーマは、東南アジアにおける芸術支援、アーティストとAIの関わり、レイヴカルチャーの芸術的側面など多岐にわたる。また、香港政府観光局(HKTB)と共催で、深圳の別会場でもパネルディスカッションが開催される。
さらに、フェア会期中には、会場内外で多彩なパブリックプログラムも展開される。注目のプログラムには、M+ファサードを使ったホー・ツーニェンの新作《Night Charades》の展示があり、香港映画の黄金期をテーマに、AI技術を用いた映像体験を通じて新たな視点で香港映画史を紡ぎ出す試みが行われる。同作の公開に際し、M+ではホーの20年に及ぶキャリアから厳選された5作品も上映される。