デジタルアーティスト・Beeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)による、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)に基づいたデジタルアート作品《Everydays - The First 5000 Days》が、2月25日〜3月11日に行われるクリスティーズのオンラインセール「First Open | Online」に出品される。
NFTとは唯一無二の「一点物」の価値を生みだせるトークンという意味で、現在ではブロックチェーンゲームにおいて主に活用されている(Coincheckより)。そんなNFTを美術作品に紐付けることにより、購入者はブロックチェーン上で作品の所有者と真正性を検証することや、アーティストのデジタル署名と制作時期、エディションサイズ、過去の販売記録などすべての詳細を含むアートワークファイルを受け取ることができる。
社会の矛盾や不条理を大胆にシンボリズムで表現することで知られているBeeple。彼は2007年より、無期限に毎日1点の作品を制作して投稿することを目指し、13年間1日も休まずに制作を続けてきた。これらの作品は「Everydays」シリーズと名付けられており、《Everydays - The First 5000 Days》はその最初の5000点の画像をひとつの作品にまとめたものだ。予想落札価格は未定となっており、入札は100ドルから始まる。
本作について、クリスティーズの戦後・現代美術のスペシャリスト、ノア・デイビスは次のようにコメントしている。「《Everydays - The First 5000 Days》は、何千日もの間に作成された5000枚の画像からなる記念碑的な作品で、鑑賞者はズームインして、ピクセル単位でアーティストとしてのBeepleの不遜でありながらもつねに魅力的な進化を目の当たりにすることができる。アーティストの13年間のキャリアをひとつの作品で表現する能力は、このメディアの無限の性質を完璧に示している。ストリート・アートが優良な収集カテゴリーとして登場したように、NFTに基づいた作品は、アートマーケットにおける次の独創的で破壊的な力となる可能性を秘めている」。
Beepleはこう続けた。「初めての100パーセントのデジタルアート作品がクリスティーズで競売にかけられることに、私はとても興奮している。これは、デジタルアートだけでなく、ファインアートの世界全体にとって、本当に歴史的な瞬間だと思う。ブロックチェーンによって所有権を証明できるようになり、デジタルアート作品の真の希少性を持つことができるようになったことで、新しいアート作品だけでなく、新しいコレクターが爆発的に増えていくと思う」。
Beepleは昨年、「Everydays」シリーズのなかから2020年に制作した21点の作品をブロックチェーンベースのオークションプラットフォーム「ニフティゲートウェイ」に出品し、350万ドル以上の売上高を記録した。今回の5000点の画像を集めた作品はどこまで数字を伸ばすのか、注目したい。