今年10月22日〜25日にパリで開催を予定していたアートフェア「FIAC」が、新型コロナウイルスの影響で中止となることを発表した。これにより、今年3月以降に予定されていた大規模な国際アートフェアはすべて中止となった。
アート・バーゼルをモデルに設計されたFIACは、1974年に初めて開催。旧バスティーユ駅やパリ・エクスポ・ポルト・ド・ヴェルサイユなどを経て、2006年より毎年グラン・パレを会場に行われてきた。近年、イギリスのEU離脱により、パリはアートマーケットにおいてヨーロッパのより重要な市場となりつつあり、FIACに対する国際的な注目も高まっている。
主催者は声明文で、今回の決定は「この数週間、主催者と出展者、コレクター、来場者、パートナーとの間で何度も話し合いを重ねてきた結果だ」とし、その理由について次のように説明している。「近現代美術の専門家が一堂に会するユニークな機会であるFIACを2020年に開催するという強い決意と、健康危機による困難を乗り越えようとする努力にもかかわらず、フェアは出展者の正当な期待に応えるイベントを開催できる立場にはないと判断した」。
中止に伴い、FIACは出展料の全額を返金。また、チュイルリー公園、国立ウジェーヌ・ドラクロワ美術館、ヴァンドーム広場、コンコルド広場などで同時に展開されるパブリック・アートプログラム「Hors les Murs」も中止される。
これまでアート・バーゼルやフリーズなどが物理的なフェアの代替として使ってきたオンライン・ビューイング・ルームについて、FIACは明らかにしていない。ARTnewsの報道によれば、フェアの広報担当者は、オンラインでのフェアを開催しない意向を示したという。
なお、グラン・パレが今年12月より約3年間にわたる改修工事に入るため、次回のFIACは2021年10月21日〜24日にエッフェル塔の近くにある仮設スペース、グラン・パレ・エフェメールで開催される。