今年、香港とスイスでのフェアを中止した「アート・バーゼル」。そのオルタナティブとして行われた、2度目のオンライン・ビューイング・ルーム(以下、OVR)が、6月26日に閉幕した。
VIPプレビューを含め、6月17日から10日間にわたって開催された今回のOVRでは、世界35ヶ国から282のギャラリーが参加。23万以上の訪問者数を記録したという。3月の初回(25万アクセス)からやや数字は落ちたものの、短いスパンでの開催もあってか、その勢いは維持されたと言えるだろう。
今回の総出品数はおよそ4000点で、作品の総価格は約7億4000万ドルにも達する。これは、3月のOVR初回(2億7000万ドル)と比較しても非常に高い数字だ。価格帯も、500ドルから1000万ドルという幅広さを見せた。
アート・バーゼルのグローバル・ディレクターを務めるマーク・シュピーゲルは「多くのコレクターから非常に好意的なフィードバックが寄せられた」とポジティブに振り返る。
「ギャラリーがいかに迅速かつ創造的にデジタル・プラットフォームに合わせたプレゼンテーションを行っているかがわかった。第2回目のOVRとなった今回は、多くのギャラリーが可能な限りデジタルとオフラインの両方で並行してプログラムを行い、対話の機会を創出した」。
バーゼルでは、このデジタル・イニシアチブをさらに発展させ、ギャラリーをサポートするための継続的な取り組みの一環として、OVRのプラットフォームをすべての参加ギャラリーに提供するための方法を検討しているという。新型コロナウイルスの影響で海外への移動に制限があるなか、オンラインアートフェアはフィジカルなフェアに取って代わることができるのか。アートフェアの世界をリードするバーゼルの動向から目が離せない。