かつてニューヨーク「アートシーンの女王」と称されたアメリカのギャラリスト、メアリー・ブーンが虚偽の納税申告書を提出し脱税したため、2年6ヶ月の懲役刑を宣告された。その刑罰には、最長1年間の監督下での釈放と180時間の地域奉仕も含まれている。
1951年アメリカ・ペンシルベニアに生まれたブーンは、77年にニューヨーク・ソーホーにメアリー・ブーン・ギャラリーを設立した。これまでジュリアン・シュナーベルやジェフ・クーンズ、ジャン=ミシェル・バスキア、アイ・ウェイウェイなど現在国際的に影響力を持つアーティストを紹介することで、ニューヨークのアートシーンにおいて大きな役割を果たしてきた。
ブーンは2009年に、約80万ドルのマンハッタンのアパート改造費を含む、約160万ドルの個人的な支出をビジネス上の控除として虚偽申告。また2011年度には、370万ドルの利益を上げていたにもかかわらず、5万2000ドルの事業損失と申告するなどのことを通じて、合計300万ドル(約3億3000万円)以上を脱税したという。
「artnet」の報道によると、ブーンは次のような声明を発表した。「私がしたことは、私と家族に恥と苦しみをもたらしました。自分の行動を元に戻すことができればいいのですが、それはできません。私は自分の過ちから教訓を得て、そしてこれからも学び続けます。40年間一生懸命働き、そのすべてを失うことに直面しています。仕事に戻ることができることを願っています」。
ジュリアン・シュナーベルやアイ・ウェイウェイ、ベス・ルーディン・ディウッディ、ピーター・ブラントなどのアーティストやコレクターはブーンの人格を擁護するための声明を提出したが、裁判官のヘラーズテインは、「罰を回避することはできません」としつつ、「詐欺的な方法で脱税した人には誰しも、その行動が招いた結果が生じなければなりません」と述べている。