東京・小平の武蔵野美術大学美術館で開催中の、ウェブ版「美術手帖」の連載をもとにした展覧会「民具これなーんだ?──民俗学者・宮本常一が美術大学に遺した民具コレクション」(6月15日〜8月1日)。その公式図録が発売された。

本書は、独自の視点から民具を観察することで、新たな気づきを得られる1冊だ。第1章では連載をもとに、「『〇〇の民具』これなーんだ?」と題して15の問いかけに沿った民具を掲載している。豊富な図版とともに民具がわかりやすく解説されており、ページをめくると答えと解説が登場するクイズのような仕立てとなっている。同じテーマで集められた全国各地の民具が、興味深いエピソードとともに紹介されているのも見逃せない。


続く第2章では、収蔵庫見学の醍醐味を疑似体験できる。数多くの民具を並べて比較することで、それぞれの違いや特徴が視覚的に浮かび上がってくる。
そして第3章では、潜在的な記憶を呼び覚まし、誰かの物語を宿す「メディア」としての側面に焦点を当てる。美術やデザインの学びと、制作においてその性質がもつ意味を考えながら、民具の可能性を見つめ直す試みとなっている。


さらに、知的好奇心を刺激するコラムも多数収録。細部への観察から民具を紐解く「どう見えた? 民具と『見立て』」や、定義の違いにせまる「どう違うの? 民具、民藝、そして産業工芸」など、図録本編とあわせて読むことで、民具への理解がより一層深まる構成となっている。


























