このスペースのオープニングを飾るのは、マット・クラーク(Matt Clark)が設立したロンドン拠点のアート集団「ユナイテッド・ヴィジュアル・アーティスツ(United Visual Artists/UVA)」による展覧会「Beyond the Façade」である。アート、建築、テクノロジーを融合させた作品で知られるUVAは、これまでにロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ、山口情報芸術センター(YCAM)、シドニー・ビエンナーレなどで作品を発表してきた。

今回の展示では、光と動きを通じて人生の様々な循環を探究し、来場者が作品のなかに自らの姿を見出せるような体験を創出する。さらにクラークは、毎年恒例となっている同館のファサード・マッピング公開イベント(今年はで5回目)のアーティストにも選出されており、展覧会の序章として新作のファサード作品を発表する予定だ。
カサ・バトリョは2021年以降、没入型の文化体験を積極的に導入してきた。建築を模範的に修復しつつ、最先端のテクノロジーを融合させることでガウディの幻想的な空間を拡張させる先駆的な試みは、国際的に高く評価され、これまでに40以上の賞を受賞している。
これらの取り組みは、同館のアート・プログラム「カサ・バトリョ・コンテンポラリー(Casa Batlló Contemporary)」の一環として行われている。アーティストが館と協働し、ガウディの遺産を再考・再解釈することを目的とするプロジェクトだ。
2026年は建築家アントニ・ガウディの没後100年にあたる節目の年であり、本計画は同館にとっても特別な意義を持つ。カサ・バトリョ・コンテンポラリーのディレクター、マリア・ベルナットは次のように語る。
「カサ・バトリョ・コンテンポラリーは、過去と未来の対話を育み、アントニ・ガウディの遺産を現代的な枠組みのなかに位置づけることを目指しています。アートと建築を通じて彼の急進的なビジョンを探究し、革新と破壊精神に忠実でありながら、バルセロナのダイナミックな芸術的風土と結びつけていきます」。
新ギャラリーの誕生は、カサ・バトリョが「厳格な保存」と「文化的革新」という二重の使命に挑んでいることを示すものでもある。来場者はカサ・バトリョ全体の見学ルートの一部として、あるいは当スペース専用のチケットを購入して入場することができる。
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