丹下健三設計の名建築。解体予定の「旧香川県立体育館」、民間による再生案が始動【3/3ページ】

 上杉はさらに、文化庁における建築文化の保存支援の動きにも言及。これまで「保存」に限られていた支援が、「再生」も対象とする方向で動いており、現在設置されている「建築文化ワーキンググループ」との連携も視野に入れていると述べた。このように、技術面・制度面の両側から、民間主導による再生の実現可能性が高まりつつあることを強調した。

 現在、香川県は2027年度までに解体工事を完了させる方針で準備を進めているとされるが、再生委員会側も同時期までに耐震補強工事を完了させ、県民の安全性を確保する計画を立てている。

 会見の最後には、「解体判断の前提条件が変わったことを認識し、財政的負担なく文化資産を未来に遺す選択肢として、再生活用の可能性を検討してほしい」と上杉は改めて訴えた。また、「実績ある専門家が揃った我々に委ねていただければ、県の負担なく確実に再生を実現できる」との自信も示した。今後、香川県側がこの提案にどう応じるかが注目される。